続 生きる日記

風の吹くまま気の向くまま何となく綴りますよ

舞台『マクベス』感想

先日、約1か月に及んだ『マクベス』の舞台公演が、千秋楽を迎えました。
主演の丸山隆平さん、キャスト、関係者のみなさまお疲れ様でした。

こんなにドキドキでハラハラの舞台を体験することができた2016年の7月をわたしは絶対に忘れない!


翻訳本と映画から受けたマクベスの印象は、ずばり不可解な男。
なんか、やな男。

でしたが、舞台上のマクベスは、一途に妻を愛した、そしてその妻に愛されたかったひとりの男にすぎませんでした。
あなたとだったら、地獄に堕ちてもかまわない。
あなたがいれば、地獄も天国みたいな‥。
つまり、わたくし、マクベスに惚れてしまいました。
なんて嬉しい誤算。
これぞ、舞台マジック。
見事にわたしの予想を覆してくれました。
自分の弱さを知ってる強くなりたい男。愛する者に認められたいだけのちっぽけで情けない、男の中の男。もっとも男らしい男。
丸山隆平だからこそのマクベスが誕生し、わたしに迫ってきたのです。
丸山隆平さんの肉体の美しさ。非常に生々しく、エネルギッシュで、色っぽい。そして声。
繊細で優しいマクベス
‥‥。なら、そうなるのもわかる。って腑に落ちました。
しかし、たった1回観ただけでは、物足りないし、わからないところもたくさんありました。あと3回くらい観れたら。
って、贅沢ですね。
毎回毎回、一度として同じ舞台はないのだと思うとなおさら観たくなるというものです。
改めて、あんなに濃い舞台に1か月も立ち続けるなんて、役者さんは本当にすごいなと思います。
最早アスリート。

今回は生演奏もあって、凄く心を動かされました。タイミングが実に見事でした。
また、気になっていた魔女が、魔物というかたちで男性が演じていたこともまさかの演出でした。
ダンサブルで、軽やか。あらゆる仕掛けがあって、とても見ごたえがありました。魔物仕事しまくりでした。
何一つ見逃したくない!と五感をフル稼働させていました。
もちろんたくさん見逃してると思いますが。

この物語が、何百年ものあいだ繰り返し上演されてきた訳が少しわかったような気がしました。
マクベスってちょっと変?ゆえに、なかなか人間らしい。どこか自分と重なるところがある。
役者によって印象がどんどんかわるだろうし、いろんな解釈ができるし、してもいい。観たいようにみればいい。役者と観客のチャレンジがずっと続いているのが、マクベスであり、シェークスピアなのかなー?なんてことを思いました。
目の前の演劇を受け入れて楽しむことができればそれでいいのかな?
とはいえ、初心者でありますからついつい固くなってしまいます。なので、観たあとは、めちゃくちゃ疲労してしまいました。

カーテンコールで丸山さんが、「シェークスピア初めてのひとー」って言ったところで、挙手してしまいましたが、嘘でした。
30年くらい前に、『テンペスト』観てました!内容全く覚えてないけど、好き好き松田洋治さんがなんか綱渡りみたいなことしてた記憶がうっすら。
それが初めての観劇だったかもしれません。恐らく蜷川さん演出かと。
当時、東京に住んでた姉んとこに遊びに行ったティーンのわたし。東京っぽいことのひとつでもと、姉が連れてってくれたのでした。
あーいいはなし(笑)。

にしても、都会はいいなー。


最後に、機会をつくってくれたお友達にありったけの感謝を込めて。
オレンジ本当に似合っていたってば!
また遊ぼうね。